未入金の売上、誰に請求できる?決済代行・カード会社・加盟店の三者関係の記事サムネイル

まず確認

未入金の売上、誰に請求できる?決済代行・カード会社・加盟店の三者関係

この記事は、全東信の破産で立替入金が止まった売上について、「そのお金は誰に請求できるのか」を、決済のしくみから整理したものです。カード決済には、お店・決済代行会社・カード会社という複数の当事者が関わります。まず、自分の契約相手が誰かを確かめることが出発点です(2026年7月15日時点の一般的な整理です)。なお、誰に請求できるかは契約の中身しだいで変わる個別の判断なので、最終的には管財人や専門家に確認してください。

まず確認する3点

  1. カード決済のお金は、いったん決済代行会社を通ってお店に入る流れだった。
  2. そのお金がどの段階で止まったのかを、入金履歴で確かめる。
  3. 自分の契約相手が誰か(加盟店契約書の相手方)を確認する。

ケン「客はちゃんとカードで払うてくれてる。カード会社には金が入ってるはずやろ。ほな、カード会社に直接『うちの分よこせ』って言えるんちゃうの?」

ナオ「気持ちは分かります。でも、そこは契約のかたちによって変わります。多くの場合、お店の契約相手はカード会社そのものではなく、あいだに入る決済代行会社です。お金は『カード会社→決済代行会社→お店』という順に流れていました。」

ケン「じゃあ、うちの契約相手は全東信ってことか。」

ナオ「加盟店契約書の相手方がどこかを確認してみてください。相手が決済代行会社なら、未入金は基本的にその会社への債権になります。カード会社に直接請求できるかどうかは、契約の組み立てによって変わるので、そこだけで決めつけないほうがいいです。」

ケン「ほな、その全東信が潰れたら、うちの金はどこ行くんや。」

ナオ「カード会社から決済代行会社までは届いていても、そこからお店へ渡る前で止まっている、というかたちが考えられます。その止まった立替金を、破産手続のなかで破産債権として届け出て確認していく、というのが基本の道です。」

登場するのは三者

当事者役割
お店(加盟店)商品・サービスを提供し、カード決済を受け付ける
決済代行会社カード会社との間に入り、売上をまとめて受け取り、契約で決めた日にお店へ立替えて振り込む
カード会社カード利用客への請求と、加盟店側への支払いを担う

全東信は、この「決済代行会社」の位置にいました。お店から見た直接の契約相手は、多くの場合この決済代行会社です。だから「誰に請求できるか」を考えるときも、まずこの三者のどこと契約しているかを起点にします。

お金はどこで止まったのか

カード決済のお金は、ふつう「カード利用客→カード会社→決済代行会社→お店」という順で動きます。全東信のケースで問題になっているのは、カード会社から決済代行会社までは届いていても、そこからお店へ立替えて振り込む前で止まっている売上です。だから、まず入金履歴を見て「最後に入金された日」を確定し、その後に決済だけ成立して振り込まれていない分を洗い出します。どの段階で止まったかが分かると、誰への債権なのかも整理しやすくなります。

「カード会社に直接請求できるか」は契約しだい

ここがいちばん誤解されやすいところです。お店の契約相手が決済代行会社であれば、未入金は基本的にその会社(=破産した全東信)に対する債権として扱われます。カード会社に直接支払いを求められるかどうかは、加盟店契約が「決済代行会社を通した包括的な契約」なのか、「カード会社と個別に結んだ契約」なのか、資金の管理や保全の取り決めがどうなっているかなど、契約の組み立てによって変わります。これは一般論であり、あなたの契約でどうなるかは、契約書の確認と、管財人・専門家への相談で判断してください。ここを自己判断で決めつけて動くと、かえって時間がかかることがあります。

止まった売上は「破産債権」として届け出る

契約相手である決済代行会社が破産した場合、まだ振り込まれていない立替金は、その会社への未払いの債権として残ります。これは破産手続のなかで破産債権として届け出て、確認していく対象になり得ます。届出には、決済データ・入金履歴・加盟店契約書などの資料が必要です。提出の方法と期限は、破産管財人・裁判所からの正式な案内で確認します。全東信の破産手続は2026年7月6日に大阪地方裁判所で開始しており、食団連の案内では破産管財人室の電話番号(06-4704-4681)が示されています。届出の具体的な進め方は債権届出の前に確認したいことで整理しています。

二つの「請求」を混同しない

三者関係で整理すると、性質のちがう二つの請求が見えてきます。混ぜると金額も相手も合わなくなるので、分けて考えます。

止まっている場所相手扱い方
決済は成立したが立替入金がされていない売上決済代行会社(全東信)破産債権として届け出る
そもそも決済が成立していない・端末が止まって取れなかった売上カード利用客(お店との直接の取引)通常の売掛として個別に対応

「決済は通っているのに入金がない」分と、「そもそも決済できていない」分は別ものです。前者は決済代行会社への破産債権、後者は客との通常のやりとりです。どちらに当たるか迷う取引は、決済データと契約内容をそろえて管財人・専門家に確認してください。

よくある誤解

よくある質問

Q. 自分の契約相手が決済代行会社かカード会社か、どう確かめますか。

加盟店契約書や利用規約の「契約の相手方」を確認します。見当たらないときは、控えや案内メール、管理画面の表示でも手がかりになります。分からなければ、管財人・専門家に相談してください。

Q. カード利用客に、もう一度払ってほしいと言えますか。

決済がすでに成立している売上について、同じ代金を客に二重に求めることはできません。止まっているのは客とお店の間ではなく、決済代行会社からお店への立替の部分です。取消や不成立の扱いは別問題なので、混同しないよう分けて整理してください。

Q. いくら戻りますか。

配当があるか、いくらかは、手続の進行と財産の状況で決まります。現時点では誰にも分かりません。まずは資料をそろえ、破産債権として届け出られる状態にしておくことです。

ケン「うちの相手は決済代行会社。止まった立替金は破産債権で届け出る。カード会社に直接、は契約しだい。二重に客へ請求はでけへん。こういうことやな。」

ナオ「はい、きれいに整理できています。まずは契約相手を確かめて、入金が止まった分を資料でそろえる。そのうえで届出の方法を、管財人・裁判所の案内で確認しましょう。」

次に読む

出典・参考

個別の判断は、管財人・裁判所・金融機関・税理士など担当機関・専門家へ確認してください。