資金繰り
全東信の未入金で既存の借入を返せないとき、返済条件変更を相談する
2026.07.13
未入金への対応は、新しく融資を借りることだけではありません。既存の借入について、元金の返済を一時的に減らす、返済期間を見直すなど、返済条件の変更(リスケジュール)を相談できる場合があります。ただし自動的な猶予ではなく、金融機関との合意が必要です。この記事は、相談のタイミングと持参する資料、注意点を整理します。
先にやること(3つ)
- 資金不足が分かった時点で、延滞する前に担当者へ連絡する
- 借入先ごとの残高・金利・返済額・返済日を1枚にまとめる
- 希望する変更内容と、正常な返済に戻す時期を言葉にしておく
ケン「正直、来月の返済がしんどい。でも『返せません』なんて言うたら、印象悪なるやろ?」
ナオ「逆です。残高が足りなくなってからより、資金不足が分かった時点で先に連絡した方が、相談の選択肢が広がります。延滞してからだと話が難しくなりがちです。」
ケン「元金を止めてもらえたら、だいぶ楽になるんやけどな。」
ナオ「元金据置という方法はあります。ただ、その間も利息は続きますし、据置が終わると月々の返済額が増えることもあります。楽になる面と、後で重くなる面の両方を見て決めましょう。」
ケン「リスケしたら、もう次は借りられへんのちゃうか。」
ナオ「そこは一律には言えません。『リスケすると二度と借りられない』も『リスケすれば追加で借りられる』も、どちらも正しくありません。影響は個別に判断されます。」
延滞する前に連絡する
返済口座の残高が不足してからではなく、資金不足が分かった時点で担当者へ連絡します。金融庁の金融円滑化対策は、金融機関が中小企業への円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努めるべきという考え方が、金融円滑化法の終了後も変わらないと説明しています。日本政策金融公庫のセーフティネット案内も、大型倒産など不測の事態の影響を受けた事業者について、融資や返済条件の緩和の相談に迅速に対応するとしています。今回の全東信の破産についても、経済産業省・中小企業庁が2026年7月10日に、金融機関に対し返済猶予等の既往債務の条件変更や貸出手続の迅速化などへの対応を要請したことを公表しています(2026年7月13日時点)。もっとも、これは金融機関への要請であり、希望どおりの変更が認められるとは限りません。
面談へ持参する資料
- 借入先ごとの残高、金利、月々の返済額、返済日
- 全東信の未入金額と、その根拠となる明細
- 直近の試算表と前年同月との比較
- 13週間と12か月の資金繰り表
- 税金、社会保険料、家賃、仕入れの支払予定
- 代替決済を導入した後の売上見込み
- 希望する変更内容と、正常な返済へ戻す時期
複数の借入先がある場合は、一つの金融機関だけに負担を求める理由を説明できるようにします。公庫、銀行、信用金庫、ノンバンクを含む全ての借入を一覧にしてください。
「元金据置」と「返済免除」は違う
元金の返済を一定期間止めても、利息の支払いは続くことや、据置後の返済額が増えることがあります。期間を延長すると、総利息が増える可能性もあります。月々の負担だけでなく、変更後の返済予定表と総返済額を確認してください。
また、条件変更が今後の審査や信用保証の扱いに与える影響は、個別に判断されます。「リスケすると二度と借りられない」「リスケすれば追加融資も受けられる」といった一律の説明は正しくありません。
例で見る「据置で軽くなる分」の考え方
数字で見ると、判断がしやすくなります。たとえば毎月の返済が元金15万円+利息のお店で、6か月間だけ元金を据え置いてもらえたとします(これは考え方を示すための仮の数字です)。この間、月々の負担は元金分だけ軽くなりますが、利息の支払いは続き、据置が終わると残った元金を短い期間で返すことになり、月々の返済額はむしろ増えることがあります。「今どれだけ軽くなるか」だけでなく、「据置後にいくら払うか」を、変更後の返済予定表で必ず確かめてください。
相談時の伝え方
原因を「売上不振」だけで済ませず、全東信の未入金という一時的な要因と、もともとの収益状況を分けて説明します。正常化に必要な月数、削減できる費用、代替決済後の入金サイクルを数字で示すと、相談の前提がそろいます。
よくある誤解
- 誤解「延滞してから相談する方が誠実だ」→ 延滞前に連絡した方が、相談の選択肢は広がります。早い連絡が基本です。
- 誤解「元金据置は返済免除と同じ」→ 別物です。利息は続き、据置後に月々の返済が増えることもあります。
- 誤解「リスケすると今後の融資に響く、または逆に追加融資が当然に受けられる」→ どちらも一律には言えません。影響は個別に判断されます。
よくある質問
Q. どの借入から相談すればいいですか。
まずは全ての借入を一覧にしてください。そのうえで、負担の大きいところや条件変更の相談がしやすいところを、担当者と整理します。一つに絞る場合は、その理由を説明できるようにします。
Q. 新規融資とリスケは、同時に相談していいですか。
できます。既存返済が先に重くなる場合は、新規融資と条件変更をあわせて相談すると、資金繰り全体で見た計画を立てやすくなります。
ケン「早めに連絡、全部の借入を一覧、据置後の返済額まで見る。これやな。」
ナオ「はい。そこまで準備できていれば、相談の前提がそろいます。認められるかは相手しだいですが、話は前に進めやすくなります。」
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出典・参考
- 金融庁「中小企業等に対する金融円滑化対策」(金融円滑化法の終了後も、円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努める考え方は変わらないと説明。確認日 2026年7月13日)
- 日本政策金融公庫「セーフティネット(相談窓口)」(大型倒産など不測の事態での融資・返済条件緩和の相談対応。確認日 2026年7月13日)
- 中小企業庁ミラサポplus「全東信の破産手続開始を受けた資金繰り支援」(2026年7月10日発表。返済猶予等の既往債務の条件変更・貸出手続の迅速化への対応要請。確認日 2026年7月13日)
個別の判断は、管財人・裁判所・金融機関・税理士など担当機関・専門家へ確認してください。
