資金繰り
未入金があるときの資金繰り表の作り方
2026.07.10
資金繰り表は、いつ・いくら現金が足りなくなりそうかを支払日順に見えるようにするための表です。全東信の未入金があるときにいちばん大事なのは、入ってくるか分からないお金を、通常の入金予定と混ぜないことです。この記事は、現金売上とカード売上が混ざる飲食店を想定して、表の作り方と相談先への伝え方を整理します(2026年7月13日時点)。
ケン「未入金が出てもうて、正直パニックやねん。とりあえず税理士に丸投げしたらあかんの?」
ナオ「相談する前に、現状を1枚の表にまとめておくと話が早いです。『今ある残高』『入ることが決まっているお金』『入るか分からないお金』を分けるだけで、見え方が変わります。」
ケン「分けるって、そんなん意味あるん?売上は売上やろ。」
ナオ「そこが分かれ目なんです。未入金の売上を『入る前提』で表に入れてしまうと、資金が危ない日が見えなくなります。回収できるかどうかは管財人の手続きで決まるので、いまは楽観も悲観もせず、両方の場合で残高を見ておきましょう。」
ケン「両方って、表を二回作るんか。めんどいな。」
ナオ「列を1つ足すだけで大丈夫です。未入金を別枠にしておけば、その行をゼロにするだけで、いちばん厳しい場合の表になります。」
並べる順番
- 今日の口座残高と現金残高
- 確定している入金予定(現金売上、他社決済、売掛金)
- 未入金の売上(根拠資料とともに別枠で記載)
- 仕入れ、給与、家賃、税・社会保険料、借入返済などの支払予定
この4つを日付順に並べ、各日の差引残高を出します。期間は13週間(およそ3か月)を週単位で置くと、当面の危険日が見えやすくなります。融資の可否・金額・条件は金融機関等の審査で決まります。資料は、相談時に現在地を正確に共有するために使います。
飲食店ではどんな表になるか
たとえば居酒屋なら、現金売上はほぼ毎日入りますが、カード売上は決済代行を通るため数日〜十数日遅れて口座に入ります。ここで全東信経由の入金が止まると、「売上は立っているのに口座には入らない」状態になります。一方で仕入れは週ごと、給与は25日、家賃は月末、借入返済は約定日と、支払いの期日は待ってくれません。だからこそ、入金の列と支払いの列を同じ日付軸に並べ、どの支払日で残高が底をつくかを先に押さえます。
この表は一度作って終わりではありません。代替決済に切り替えて入金サイクルが変わったり、支払先と分割の話がまとまったりするたびに、数字は動きます。週に一度、口座と現金の実残高を書き入れて更新すると、危険日が前後したことにすぐ気づけます。見込みの数字はうすい色や「予定」の印で分け、実績が確定した行と混ざらないようにしておくと、相談先にも状況を正しく伝えられます。
計算例(説明のための仮の数字)
ここからは、考え方をつかむための例です。実在の店の数字ではありません。月のカード売上が120万円あり、そのうち全東信経由の80万円が未入金になっている店を考えます。口座残高が60万円、月末に家賃30万円・給与50万円の支払いが控えているとします。未入金の80万円を「入る前提」で表に置けば残高は足りて見えますが、その行をゼロにすると、支払い前に残高が不足する日がはっきり出てきます。この「最初にマイナスになる日と金額」こそ、相談を急ぐべきタイミングです。金額はあくまで例示で、実際は取消しや手数料を差し引いた正確な集計が必要です。ここで出た「不足額」と「不足する日」は、そのまま融資相談や支払先との交渉で使う数字になります。逆に言えば、この2つが言えないと相談は前に進みません。楽観の1案だけで「なんとかなりそう」と判断せず、未入金ゼロの案とセットで見るようにします。
よくある誤解
誤解1:未入金もいずれ入るから、いつもの入金予定に足しておけばいい。 回収の時期と金額は破産手続きの中で決まり、今の時点では確定していません。入金予定に混ぜず、別枠にして、ゼロの場合の表も用意します。
誤解2:「月末が厳しい」と伝えれば、銀行は事情を分かってくれる。 金融機関も支払先も、日付と金額がないと動けません。「何日に、いくら足りないか」を数字で示します。
誤解3:資金繰り表は経理か税理士が作るもの。 最終的に判断するのは経営者です。まず自分で現状を並べ、そのうえで専門家に相談すると、話がかみ合います。
よくある質問
Q. 何週間分を作ればいいですか。
当面の資金ショートを見るなら、13週間(約3か月)を週単位で置くのが目安です。落ち着いてきたら月単位に戻して構いません。
Q. 未入金額がまだ正確に分かりません。
分かる範囲で入れ、推定の行には「推定」と明記します。確定した金額の出し方は全東信の未入金額はどう計算する?を参照してください。
Q. Excelがないと作れませんか。
手書きの紙でも作れます。大事なのは体裁ではなく、入金と支払いが日付順に並び、未入金が別の列になっていることです。
ケン「要は、入るか分からん金は別の列にして、その行をゼロにした表も作る。それを持って相談に行く、でええんやな。」
ナオ「はい。残高が最初にマイナスになる日と金額が言えれば十分です。あとは相談先と一緒に打ち手を考えていけます。」
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出典・参考
- 食団連 第2報(資料・資金繰り表の準備。確認日2026年7月13日)https://shokudanren.jp/activities/6AE-g1RA
- J-Net21「資金繰り表を活用する」(確認日2026年7月13日)https://j-net21.smrj.go.jp/solution/handbook/finance/table.html
- 日本政策金融公庫「取引企業倒産対応資金」(確認日2026年7月13日)https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/06_tousanntaisaku_m.html
個別の判断は、管財人・裁判所・金融機関・税理士など担当機関・専門家へ確認してください。
